動物に”より優しい”予防医療を目指して
当院ではエビデンスに基づく獣医療として世界小動物獣医師会(WSAVA)のワクチン接種ガイドラインに賛同し、推奨されるワクチン接種方法に変更しております。
http://www.wsava.org/guidelines/vaccination-guidelines/
ワクチチェックを導入し、ワクチンプログラムを以下の通りとします。
成犬の場合
- 1)コアワクチン(ジステンパー、パルボ、伝染性肝炎)について
- コアワクチンの抗体検査(ワクチチェック)の実施
→抗体価が十分な場合 →ワクチン接種を見送る
→抗体価が不十分な場合→ワクチン接種する - 2)ノンコアワクチンについて
- 生活環境によって毎年接種する
※狂犬病ワクチンに関しましては狂犬病予防法に基づき毎年接種になります。
仔犬の場合
・1回目の接種:6~8週齢
・2回目の接種:3~4週後
・3回目の接種:3~4週後
・狂犬病ワクチンの接種
・4回目の接種:1週間後、16週齢以上
4回目のワクチン接種後、1ヵ月以上開けて抗体検査
「アメリカではワクチンの接種は3年でいいのに毎年ワクチン打つの?」
「アレルギーや体調に不安があるのにワクチンを打っても大丈夫?」といった声を耳にすることが増えました。
また最近では新聞記事にもなりワクチン接種に関心をもたれている飼い主さんも多いのではないのでしょうか?
飼い主さんの不安やワンちゃんの体へのリスクを考慮し、ワクチチェックを導入しています。
Q1:ワクチチェックって何?
ワクチチェックは抗体価を調べる検査で、簡単にいうとワクチンの効力を調べる検査になります。犬のコアワクチンと呼ばれる犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス、犬パルボウイルスの3種類のワクチンについて検査できます。
詳細が気になる方は、公式サイト(https://vaccicheck.jp/)をご覧いただくか、獣医師までご相談ください。
Q2:ワクチチェックを導入するとどうなるの?
ワクチチェックを導入することで、ワクチン接種に来られた飼い主の方に「抗体検査をする」or「検査せずにワクチン接種をする」といった2つのご提案をすることになります。
検査の結果、抗体価が不十分(陰性)であればワクチンを接種して頂くことになるのですが、抗体価が十分(陽性)であればそのタイミングでのワクチン接種の必要はなく、次回接種する時まで接種を見送ることができます。
Q3:ワクチチェックをすればワクチンを接種しなくていいの?
基本的に年1回のワクチン接種は必要だと考えています。というのもアメリカと日本ではワクチンの接種率が異なることや、混合ワクチンの中には効果があまり長く持続しないものも含まれているからです。
しかし、「以前、接種した時に副作用がでた」「持病があって体調面に不安が、、、」などワクチン接種に不安があるワンちゃんに無理して接種する必要があるかといわれるとその限りではないと思います。そういった不安のあるワンちゃんはワクチチェックをしてワクチン接種をする必要があるか検査してみて下さい。
Q4:抗体価の検査って実際には何するの?
病院に来院していただき採血をし、検査キットを用いて検査を行います。採血をするのに抵抗を感じるかもしれませんが、検査に必要な血液は10μlと少なく、わずかな量の採血で済みます。
簡単に検査できるといいましたが、検査には30~40分程かかってしまいます。その為、検査結果は当日中にご報告させていただければと思います。
~実際の検査の流れ~
来院して頂き、採血→検査(30~40分程度)
↓ | ↓ |
抗体価が十分(陽性) | 抗体価が不十分(陰性) |
↓ | ↓ |
ワクチン接種は次回以降 | ワクチンを追加接種する |
Q5:ワクチン証明書はどうなるの?
抗体検査の結果は抗体検査証明書を発行いたします。抗体検査証明書はワクチン接種証明書の代わりとしてご利用いただけます。しかし施設によってはワクチン接種証明書が必要といわれることがあります。その場合ワクチン接種しないとワクチン証明書は発行できないので、ワクチンを接種して頂くことになってしまいます。
ご利用される施設でどのような証明書が必要なのか確認してみて下さい。
今回は、新しいワクチネーションの一つとして、ワクチチェックの紹介を簡単にさせていただきました。
記事の内容以外にも疑問に思われる点や、不安を感じる点があると思います。その時は遠慮なく獣医師に相談して下さい。
ワクチンは、ワンちゃんそれぞれに必要なもの、必要なタイミングで接種して頂けるのがベストだと考えています。今回のワクチチェックの導入がその手助けとなればと思います。